販促・売場づくり

売れるスーパーは“導線”で決まる!売場づくりの完全マニュアル|ゾーニング×回遊性×視認性で客単価アップ

販促・売場づくり

  1. はじめに
  2. 第1章:ついで買いを生むゾーニングの工夫
    1. なぜ「ついで買い」が売上の鍵になるのか
    2. ついで買いが起こる心理メカニズム
    3. テクニック①:主力商品の隣に“関連商品”を置く
    4. テクニック②:「動線の交差点」に売場をつくる
    5. テクニック③:セット買いを促すPOPと陳列
    6. 実例紹介:相乗効果を生むゾーニング
    7. 失敗例と改善策:「分断されたゾーン配置」
      1. 【失敗例】
      2. 【改善ポイント】
    8. ついで買いが与える数値指標への影響
      1. 【好影響がある指標】
      2. 【悪影響となる可能性がある指標】
    9. 価格帯による“ついで買いされやすさ”の目安
    10. まとめ:ついで買い設計は“導線と心理”の融合
  3. 第2章:回遊性の高い売場レイアウトの設計
    1. なぜ“回遊性”が売上に直結するのか
    2. 回遊性とは?視線と歩行ルートの関係
    3. レイアウトパターン①:I字型(一本道型)
      1. 活用ポイント
    4. レイアウトパターン②:回廊型(周回型)
      1. メリット
      2. 注意点
    5. レイアウトパターン③:メッシュ型・島型
      1. 活用法
    6. テクニック:棚の向き・フェイス数・止まる仕掛け
    7. 成功事例:回遊率向上による買上点数アップ
    8. 注意点:迷路化・通行量格差のリスクと対策
      1. リスク1:迷路のように複雑すぎる構造
      2. リスク2:主通路と非主通路の格差
      3. 対策
    9. まとめ:導線設計は“歩きたくなる流れ”の演出が命
  4. 第3章:混雑・迷路化しやすいNGレイアウトとその改善策
    1. なぜ「レイアウトの失敗」が売上減や顧客離れを招くのか
    2. NGパターン①:袋小路・行き止まりの売場
      1. 改善策
    3. NGパターン②:視認性が悪い「隠れ棚」
      1. 改善策
    4. NGパターン③:通路が狭すぎる or 広すぎる
      1. 適切な通路幅の目安
    5. NGパターン④:レジ前の動線渋滞
      1. 改善策
    6. 改善テクニック:通路幅・抜け道・棚配置の再設計
    7. 成功事例:NG構造を直して売上がV字回復
    8. 指標で見るレイアウト改善前後の比較
    9. まとめ:「買いやすい」は「また来たい」に直結する
  5. 第4章:視認性を高める商品配置テクニック
    1. 導入:売れる商品でも“見えなければ”売れない
    2. テクニック①:アイレベル陳列の基本
    3. テクニック②:フェイス数を増やして“主役感”を出す
      1. 活用例
    4. テクニック③:色彩コントラストとPOPで視線誘導
      1. POPの工夫
    5. テクニック④:ゾーニングと連動させた配置
    6. テクニック⑤:立ち止まりやすい位置を狙う
      1. 具体配置例:
    7. 実例:視認性を上げて売上が伸びたケース
    8. 注意点:見やすさと“情報過多”のバランス
    9. まとめ:視認性は“売れるかどうか”を決める最大要素
  6. まとめ:導線とゾーニングが売場の命を握る
    1. 「売れる売場」は偶然ではなく、設計された結果
    2. 売れる売場の5つの共通点
    3. チェックリスト:あなたの売場はできている?
    4. 現場で使える!売場改善の3ステップ
    5. 最後に:売場設計は「お客様へのおもてなし」

はじめに

導線・ゾーニング・視認性の3要素が、売上アップにどのように影響するかを視覚的に表現した全体構図。

あなたのスーパーの売場、なんとなく商品を並べていませんか?

実は、売場設計は「偶然の売上」ではなく、意図された“流れ”が生む成果です。
本マニュアルでは、スーパーマーケットで売上を最大化するために必要な「導線設計・ゾーニング・視認性向上」など、現場で即使えるノウハウを体系的に解説します。

  • 「ついで買いを誘発するゾーン配置のコツ」
  • 「お客様が自然に歩きたくなる導線レイアウト」
  • 「視認性を活かした陳列とPOPの実例」
  • 「よくあるNGレイアウトと改善事例」

など、現役の店長・売場責任者・店舗開発担当者にとって必読の内容です。
数字が動く、現場が変わる、“売れる構造”を、今すぐあなたの売場に取り入れましょう。


第1章:ついで買いを生むゾーニングの工夫

精肉・野菜・たれが一連の流れで配置され、ついで買いが発生するゾーニングの好例。

なぜ「ついで買い」が売上の鍵になるのか

スーパーマーケットの売上を大きく左右するのが「ついで買い」の発生率です。
メイン目的の商品だけでなく、予定外の商品も手に取ってもらえる仕組みを作れるかどうかで、1人あたりの買上点数は大きく変わります。

この「ついで買い」は偶然ではなく、動線設計・ゾーニング・陳列の工夫によって、意図的に生み出すことができます。


ついで買いが起こる心理メカニズム

人は以下のような心理状態で、ついで買いに至ります:

  • 関連商品を見ると、連想で欲しくなる(例:パスタを買う → パスタソースも必要かも)
  • 視界に入ったものに気づいてついでに購入(例:牛乳を取る → 隣にヨーグルトがある)
  • 時間や手間が省けると感じると一緒に購入(例:レトルトカレーの近くにごはんパック)

これらを踏まえて、店舗側は「連想・視認性・利便性」をゾーニングに落とし込むことが重要です。


テクニック①:主力商品の隣に“関連商品”を置く

売上上位にある主力商品には、自然にお客様が集まります。そこに「関連性の高い商品」を隣接させることで、連想購買を誘発できます。

  • 精肉売場の近くに焼肉のたれ、ホイル、野菜
  • パン売場の近くにジャムやマーガリン、スープ

ポイントは「料理の流れ」や「使用シーン」を想定してペアにすること。


テクニック②:「動線の交差点」に売場をつくる

お客様の動線が自然に交差する場所(通路の合流点、レジ前、主通路の出入口)には、「ついで買いゾーン」を配置する絶好のチャンスです。

  • 試食ワゴン
  • セール品の目玉棚
  • 新商品や季節品のミニコーナー

お客様が“止まる”きっかけになるような配置がカギです。


テクニック③:セット買いを促すPOPと陳列

商品の隣にあるPOP一つで、「一緒に買う」動機を自然に与えることができます。

  • 「この○○と一緒に買う人が多いです」
  • 「これ1つでカンタン調理セット」
  • 「今なら○○が20円引きでお得」

さらに、カゴに入れるハードルを下げるためには、手に取りやすい位置・量感の調整も重要です。


実例紹介:相乗効果を生むゾーニング

  • 牛乳コーナー+ヨーグルト・プリン
    • 朝食ゾーンを意識した配置で、まとめ買いが発生しやすい。
  • 酒売場+おつまみ・冷凍枝豆・チーズ
    • 家飲み需要に即したセット提案で高単価商品をプラス。
  • 麺売場+スープ・トッピング・レンジ対応器具
    • 時短調理を意識した「全部揃う」棚づくり。

成功している店舗は、ゾーン単位で“生活シーン”を再現しています。


失敗例と改善策:「分断されたゾーン配置」

【失敗例】

  • 精肉売場とたれ売場が店舗の反対側
  • パン売場の近くに、関連するジャムやスープがない

【改善ポイント】

  • 一緒に使う商品は物理的に近づける
  • 売上分析を元に「セット買いが多い商品」を洗い出す
  • 物理的に難しい場合は、POPや床サインで連携を演出する

ついで買いが与える数値指標への影響

ついで買いを意図的に促すことで、以下のような数値に好影響が期待できます。

【好影響がある指標】

  • 客単価(客1人あたりの売上)
  • 買上点数
  • 棚あたり売上/坪効率
  • 粗利率

【悪影響となる可能性がある指標】

  • 在庫回転率(商品回転)
  • 棚替え頻度・作業負荷
  • 顧客満足度(混雑・迷路化)

ゾーニングの設計は「売上重視 × 買いやすさ維持」のバランスが鍵になります。


価格帯による“ついで買いされやすさ”の目安

価格帯ごとについで買いされやすさが異なる様子を、商品例と買い物客の行動で比較。

価格設定は「ついで買いが起こるかどうか」に直結する重要な要素です。
購買心理から見て、以下の価格帯ごとに効果が分かれます。

価格帯(税込)ついで買い効果解説
〜198円非常に高い「値ごろ感」があり、心理的ハードルが低い。菓子・小鉢惣菜・即席スープなどが該当。
199〜298円高い一緒に買っても負担を感じにくい価格帯。たれ・冷凍野菜・デザート等で効果的。
299〜398円普通商品の魅力(パッケージ・POP)が必要。内容と価格が見合っているかが重要。
399〜498円以上効果が出にくい「高い」と感じやすく、単体購入が前提になりやすい。精肉・チーズなどは値引きやセット訴求が鍵。

「ついで買い狙いの商品」は税込298円以内が黄金ゾーン。
それ以上の商品は、割引訴求・比較表示・セット提案を用意しないと、反応率が落ちやすくなります。


まとめ:ついで買い設計は“導線と心理”の融合

ついで買いを生むゾーニングは、「お客様の視点で動線を設計し、購買心理を読み取る」ことが成功のカギです。
単なる商品配置ではなく、シーン提案・連想購買・時間短縮といった視点を取り入れることで、売場は自然と「売れる構造」になります。

ヤオコーのゾーニング設計に関する分析記事(marketing-analytics.site)


第2章:回遊性の高い売場レイアウトの設計

I字型・回廊型・島型の3つの売場レイアウトを俯瞰図で比較し、それぞれの回遊性を視覚化。

なぜ“回遊性”が売上に直結するのか

スーパーにおける「回遊性」とは、お客様が店内をどれだけ多く歩き、どれだけ多くの売場を見て回るかという指標です。
回遊性が高いと、接触する商品点数が増え、ついで買い・新発見・比較購買が発生しやすくなり、結果として「買上点数」や「客単価」が向上します。


回遊性とは?視線と歩行ルートの関係

店内の動線と視線の流れを、矢印や誘導表示で示し“歩きたくなる構造”を表現。

お客様は基本的に「右回り」または「主導線に沿って直進」する傾向があります。
そのため、視認性が高く、ストレスのない「自然な導線」を設計することが重要です。

  • 人は“迷う”と回遊を止めて出口を探す
  • “止まる理由”がある場所には商品を見てもらえる

回遊性は「通路+視線誘導+動線構造」の三位一体で設計すべきです。


レイアウトパターン①:I字型(一本道型)

  • 主に小型店舗や間口が狭い売場で採用されるパターン
  • 単純明快な動線で商品導線のコントロールがしやすい
  • ただし、回遊性は低く、買い逃しゾーンが出やすい

活用ポイント

  • ゴール(レジ)に向かう流れを意識して主力商品を後半に配置
  • サイド棚に“立ち止まらせる要素(POP・限定品)”を配置

レイアウトパターン②:回廊型(周回型)

  • 中〜大型店で多く採用される「外周をぐるっと回らせる」構造
  • 自然と全体を回遊しやすく、滞在時間・接触商品が増える

メリット

  • 買い逃しが減り、計画外の購買も促進される
  • 導線を“面”で設計できるため、ゾーニングと親和性が高い

注意点

  • 出口を探して逆流するお客様が増えると、動線が乱れる
  • 「一筆書きのように自然な導線設計」が鍵

レイアウトパターン③:メッシュ型・島型

  • 棚を縦横交差するように配置し、交差点で商品を露出させる
  • 島型は什器を四方から囲ませて立体的に見せるレイアウト

活用法

  • 日配・菓子・乾物などのボリューム陳列に効果的
  • 「止まって眺める」ことを前提にした商品に向く

テクニック:棚の向き・フェイス数・止まる仕掛け

  • 棚の向きは「動線に対して垂直」が視認性が高い
  • フェイス数が多いと「商品に勢い」を感じさせる
  • 停滞ポイントには試食・季節装飾・POPなどの“しかけ”を設ける

お客様が「止まる → 見る → 手に取る」の流れを作ることが重要です。


成功事例:回遊率向上による買上点数アップ

  • 回廊型導入後、買上点数が 1.9点 → 2.6点 に増加
  • 出口付近の試食コーナー設置で平均滞在時間が 15分 → 21分 に延長
  • 季節フェアを島型レイアウトに変更し、対象商品の売上が 前年比160% を記録

注意点:迷路化・通行量格差のリスクと対策

リスク1:迷路のように複雑すぎる構造

  • 高齢者や家族連れがストレスを感じやすく、離脱率が上がる

リスク2:主通路と非主通路の格差

  • 店舗の奥や裏側の売場が“通られないゾーン”になる

対策

  • 「抜け道」「一筆書き導線」を作ってストレスを軽減
  • 通られにくいゾーンに“季節商品・新商品”など興味を引く仕掛けを配置

まとめ:導線設計は“歩きたくなる流れ”の演出が命

回遊性のある売場とは、お客様が「歩きたくなる」「止まりたくなる」「戻りたくなる」ように設計された導線です。
一つひとつの通路・棚・コーナーが意味を持ち、流れるような買物体験を演出することが、売上アップの鍵となります。

参考

スーパーマーケット白書2023(全国スーパーマーケット協会)

J-STAGE『動線調査研究の新しい視点』

客動線とは? ダイヤモンド・チェーンストアオンライン


第3章:混雑・迷路化しやすいNGレイアウトとその改善策

袋小路のNGレイアウトと、抜け道をつけて回遊性を高めた改善レイアウトの比較。

なぜ「レイアウトの失敗」が売上減や顧客離れを招くのか

売場レイアウトは「売れるための設計図」です。
しかし、構造に問題があると、お客様は「買いにくい」「歩きにくい」「探しにくい」と感じてしまい、購買意欲を削ぐだけでなく、再来店の可能性すら失います

レイアウトのNG例は、目に見えにくい“機会損失”を日々生み出している可能性があるのです。


NGパターン①:袋小路・行き止まりの売場

通路の終点に商品棚を置いていると、「戻る」しか選択肢がない袋小路が発生します。

  • お客様は引き返すのが面倒で、奥まで進まずに引き返す
  • 他のお客様と鉢合わせすると、心理的ストレスになる

改善策

  • 通路を「ループ」または「一筆書き導線」に再設計
  • 壁側にミラーや照明を設置して、奥行き感を演出する

NGパターン②:視認性が悪い「隠れ棚」

以下のような陳列は、「見えない棚」となり、売上の機会を逃します。

  • 背の高い棚が連続して死角を作っている
  • 主導線から1段奥にある「隠れ売場」
  • 商品POPが視線を遮っている

改善策

  • 背の高い棚は通路の端に配置、内側は低めの什器を使用
  • 商品の前面には「視線を誘導するPOP」ではなく「視線を遮らないPOP」を活用

NGパターン③:通路が狭すぎる or 広すぎる

  • 通路幅が狭いと「すれ違いストレス」で離脱者が増える
  • 通路幅が広すぎると、棚が遠く見えて商品に気づかれにくい

適切な通路幅の目安

  • メイン通路:1.6〜1.8m
  • サブ通路:1.2〜1.5m

NGパターン④:レジ前の動線渋滞

レジ前で混雑するNG構造と、棚配置や案内表示で動線が整った改善例を並べて対比。
  • レジ前で商品棚と行列が交差すると、滞留・混乱・回遊阻害が起きる
  • 高齢者や子連れの離脱要因になりやすい

改善策

  • レジ付近の棚は「低め・狭め」にして導線を確保
  • 並ぶ導線を誘導するフロアサインや案内POPを設置

改善テクニック:通路幅・抜け道・棚配置の再設計

  1. 抜け道を設ける:袋小路対策+回遊性向上
  2. 棚の高さを段階的に調整する:視線を奪わず見通しをよくする
  3. 交差点を増やす:動線が一本化せず、混雑の分散に寄与
  4. 定番棚の手前に「立ち止まり棚」を設ける:流れを止めて興味を引く

成功事例:NG構造を直して売上がV字回復

  • 【Before】菓子売場がレジ横の袋小路にあり、通行量が少なく売上前年比85%
  • 【After】売場を主通路に沿って移設+アイランド棚に変更 → 前年比132%に回復

指標で見るレイアウト改善前後の比較

指標改善前改善後
通行量約540人/日約730人/日
買上点数1.8点2.3点
客単価1,050円1,260円
滞在時間平均12分16分

レイアウト改善は「棚替え」よりもインパクトが大きく、数字に表れやすい施策です。


まとめ:「買いやすい」は「また来たい」に直結する

NGレイアウトは、お客様のストレスを生み、売上の足を引っ張る“見えない要因”です。
小さな動線の詰まりや視線の遮りが、大きな離脱・不満・売上減に直結します。

逆に、「自然に歩ける」「商品が見やすい」「流れが心地よい」売場は、
また来たい・ついでに買いたいという心理を後押しします。


第4章:視認性を高める商品配置テクニック

大人と子どもの目線に合ったアイレベル陳列の高さを示し、視認性の重要性を図解。

導入:売れる商品でも“見えなければ”売れない

どれだけ良い商品でも、お客様の目に触れなければ売れることはありません。
逆に「特別でもない商品」が、見やすく・取りやすく・目立つ場所にあるだけで手に取られることは多々あります。

この章では、視認性を最大限に活かす商品配置テクニックを紹介します。


テクニック①:アイレベル陳列の基本

「アイレベル=買いやすい」は小売業の鉄則です。

アイレベルの目安対象高さ
大人の目線一般商品約140〜160cm
子どもの目線お菓子・おもちゃ約90〜110cm

利益率の高い商品・売りたい商品はこの高さに配置することで、売上に直結します。


テクニック②:フェイス数を増やして“主役感”を出す

フェイス数の違いによって、同じ商品でも目立ち方や売れ筋感が変わる様子を比較。

フェイス数(前面に出ている商品の数)を増やすと、商品が目立ち、「売れ筋」の印象を与えることができます。

  • 3フェイス以上あると、注目度が約1.5倍になるという調査も
  • 商品に「勢い」「存在感」を出す効果がある

活用例

  • 定番品を横並びで展開し、「これを買うべき」という印象を強化
  • 新商品を複数フェイスにして“試す価値あり”と印象づける

テクニック③:色彩コントラストとPOPで視線誘導

  • 棚全体が同系色で埋まっていると、商品が埋もれてしまう
  • 補色・暖色系・蛍光色を効果的に使うことで、視線が集中する

POPの工夫

  • 「黄色POP+赤文字」は購買意欲を高めやすい定番手法
  • 「白地POP+イラスト」で親しみを演出するパターンも有効

「視認性」=視覚情報 × 配置の工夫です。


テクニック④:ゾーニングと連動させた配置

視認性は単独で設計するより、ゾーン全体としての見せ方で活きてきます。

  • 青果なら「旬コーナー+加工野菜+ドレッシング」を一体的に
  • 精肉なら「BBQコーナー+たれ+簡易調理グッズ」

目立つ場所に“ストーリー”を持たせて配置することで、購買率がアップします。


テクニック⑤:立ち止まりやすい位置を狙う

  • 通路の曲がり角・主通路の交差点などは、自然とお客様が止まるポイント
  • そこに目玉商品や新商品を配置することで、高い視認率が得られます

具体配置例:

  • レジ前 → 冷菓・小物菓子・期間限定品
  • 入り口横 → 特売商品・季節フェア棚

実例:視認性を上げて売上が伸びたケース

  • 棚の中段(アイレベル)に新商品を移動 → 前週比138%
  • フェイス数を1→3に増加 → 売上160%に上昇
  • 通路側にPOPを追加 → 通行者数は同じでも購買率が上昇

注意点:見やすさと“情報過多”のバランス

  • POPが多すぎると「何を見ればいいかわからない」状態に
  • 陳列が派手すぎると「安っぽい・押し売り感」が出ることも

大事なのは「主役が明確で、補足情報が読みやすい」状態です。


まとめ:視認性は“売れるかどうか”を決める最大要素

売場で最初に商品が勝負するのは「視認性」です。
見られなければ、買われることも記憶に残ることもありません。

棚の高さ・色・POP・位置・ゾーン設計すべてを使いながら、
「見やすく、伝わりやすい売場」をつくることが、売上アップへの近道です。

視認性・POP効果に関する調査データ(インテージ SCI)


まとめ:導線とゾーニングが売場の命を握る

売れる売場に共通する5つのポイントを、チェックリスト風に整理したまとめイラスト。

「売れる売場」は偶然ではなく、設計された結果

ここまで紹介してきたように、スーパーマーケットの売上を左右するのは、
商品そのものよりも「どこに・どのように置かれているか」です。

売れる売場には共通する要素があります。


売れる売場の5つの共通点

  1. ついで買いが発生しやすいゾーニング
  2. お客様が自然と歩き回れる回遊性
  3. ストレスの少ない導線と動線設計
  4. 商品が“見える”視認性の高い棚づくり
  5. 歩きたくなる・止まりたくなる導線マップの活用

これらが噛み合うことで、お客様の体験は「探す売場」から「楽しい売場」へと変化し、
結果として「買い上げ点数・客単価・再来店率」がすべて向上します。


チェックリスト:あなたの売場はできている?

  • 目的の買い物をした後、ついでに買いたくなる売場があるか
  • お客様がストレスなく回遊できる導線になっているか
  • 商品は“見られる場所”に置かれているか
  • NGレイアウト(迷路・混雑・死角)になっていないか
  • 導線を活かす「通行ポイント」に主力商品が配置されているか

現場で使える!売場改善の3ステップ

  1. 現状観察:混雑ゾーン・買い逃し・滞留などを観察・記録
  2. 改善仮説立て:どこをどう変えたら数字が動くかを想定
  3. 試験導入→検証:フェイス数・配置変更・POPテストなどで数値比較

改善は一度きりではなく、PDCAサイクルで売場を育てることが理想です。


最後に:売場設計は「お客様へのおもてなし」

導線・レイアウト・棚配置…これらすべては、お客様への無言のサービスです。

お客様が気持ちよく歩けて、必要なものが見つかり、思わず手に取ってしまう。
そんな売場こそが、“また来たくなるスーパー”の条件です。

あなたの売場は、お客様にどんな体験を提供していますか?


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